調査場所:岩手県一関市

調査年月日:2005年8月17日

 2005年8月16日11時46分頃、宮城県沖(牡鹿半島の東、約80km、深さ約42km)でマグニチュード7.2の地震が発生しました。岩手県内の揺れは藤沢町で深度5強、一関市、陸前高田市、北上市などで深度5弱を観測しました。揺れは北上川の流域周辺で大きい傾向があります。

 発生当初は、想定していた宮城県沖地震の可能性が指摘されましたが、政府の地震調査委員会は「想定している宮城県沖地震ではないと考えられる」との見解を示し、「防災上、今後も注意が必要」と発表しています。

岩手県南部は、宮城県沖地震以外にも震度5以上の揺れが起こっています。北上川沿いの低地や湿地周辺にお住まいの方は家具の転倒・落下や家屋の倒壊に、傾斜地にお住まいの方は落石や地すべりに注意が必要です。

今回の地震で、一関市では道路上に巨石が落下しましたが、幸いにも人命に関わるような大災害にはなりませんでした。今回調査した2箇所の落石状況を紹介します。

(現地調査:舞草 伸・加藤 修、清書8月29日:加藤 修)

<一関市萩荘字中大桑>

 国道457号沿いの北側の自然斜面で岩塊崩落が発生。落石や杉の倒木で、一関中心部方面の車線が完全に封鎖された。

 現場周辺の岩盤(凝灰岩:厳美層)は、1辺1m程度の大きなブロック状に割れる性質がある。斜面の勾配は約50°あり、地震の揺れにより凝灰岩の節理面に沿って崩落したと予想される。

<一関市萩荘字中大桑>

 同上。車線をふさぐ長辺約5mの落石。

 待ち受け擁壁や防護柵の無い箇所で路上に転がり出たようである。

<一関市舞川字根岸>

 県道168号(薄衣舞川線)沿いの東側の自然斜面で落石が発生。斜面の勾配は約60°。

落石で、川崎村方面の車線が塞がれ、片側交互通行になっている。

 

 

<一関市舞川字根岸>

 落石は1辺0.5〜1m弱のブロックとなっている。崩壊は自然斜面で発生し、落石防護ネットのない箇所で、路上に転がり出た模様。

 苔の生えている落石があり、転石がすべり落ちた可能性もある。

 現場周辺は10〜数十cm間隔の亀裂が発達した硬質の礫岩(薄衣礫岩)が分布する。

 

<一関市舞川字根岸>

 崩壊箇所の直ぐ南には落石防護ネットがあり、古い落石(写真中央右)と今回の地震によるもとの見られる新しい落石(写真中央左)がネットで止められている。

ネットが落石防護効果を発揮している。

<一関市舞川字根岸>

落石(1辺約50cm)が県道を飛び越え、北上川沿いの畑に達している。

 作物が一部、つぶされている。